「法律」とは?

このブログは、法律のはなしをゆるゆるとするブログです。
最初の話題を何にするかを悩んだのですが、まずは「法律」について書いてみようと思います。
法律とは何でしょうか。例えば、たまたま手元にある国語辞典では、次のように書かれています。
ほうりつ【法律】社会生活を保つために定めた、支配的(特に国家的)な規範 ▽立憲国では国会の可決を経て定めるのが原則
『岩波国語辞典 第7版』
過去や外国の話も含んで考えると、このような定義になると思います。一言で言うと、国が定めたルールと理解すればよいでしょう。
現代日本に限って言えば、国会の議決を経て定められたルールが「法律」です。具体的には、民法、刑法、会社法等が法律です。
法律はいくつあるの?
現代日本では法律はいくつあるのでしょうか。
現行の法律は、日本政府が運営している「e-Gov」で閲覧することができます。
www.e-gov.go.jp
本日(2025年1月25日)、e-Govの法令検索で現行の「法律」を検索すると、検索結果が2097件と表示されます。現行の法律だけでも、2000を超しているのです。その中には現在ではほとんど使われていない法律もあります。すべての法律を理解している人はいないでしょう。
「政令」・「省令」とは?
法律と似て非なるものの一つ、政令と省令です。
政令と省令も、法律と同じく、国が作ったルールです。政令と省令が法律と異なるのは、誰が定めたかです。
法律は、国会が定めたルールです。これに対して、政令は内閣が定めたルールです。また、省令は各省庁の大臣が定めたルールです。
なぜ政令や省令が存在するのでしょうか。通常、法律は、抽象的な定め方をしています。そのため、法律の内容を実現するためには、具体的な細かいルールを定める必要があります。これが政令や省令です。
例えば、自動車の法定速度です。運転免許証をお持ちの方であれば、一般道の法定速度が時速60キロメートルというのはご存知でしょうか。法定速度について、道路交通法という法律は、次のように定めています。
(最高速度)
e-Gov 法令検索
第二十二条 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
2 路面電車又はトロリーバスは、軌道法(大正十年法律第七十六号)第十四条(同法第三十一条において準用する場合を含む。第六十二条において同じ。)の規定に基づく命令で定める最高速度をこえない範囲内で道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては当該命令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
このように道路交通法では、「政令で定める最高速度」と抽象的な定め方をしており、具体的にどれくらいの速度を超えると違反になるのかは定められていません。
道路交通法施行令という政令では、道路交通法第22条1項を受けて、次のように定めています。
第十一条 法第二十二条第一項の政令で定める最高速度(以下この条、次条及び第二十七条において「最高速度」という。)のうち、自動車及び原動機付自転車が高速自動車国道の本線車道(第二十七条の二に規定する本線車道を除く。次条第三項及び第二十七条において同じ。)並びにこれに接する加速車線及び減速車線以外の道路を通行する場合の最高速度は、自動車にあつては六十キロメートル毎時、原動機付自転車にあつては三十キロメートル毎時とする。
e-Gov 法令検索
このように道路交通法施行令第11条が自動車の法定速度を時速60キロメートルと定めています。