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コンビニと民法 日常生活と法律①

はじめに

法律というとニュースやドラマの中の話で、日常生活を過ごす分には縁がないと思われている方もいるでしょう。
ですが、日常生活の中で、私たちは知らず知らずのうちに法律に触れています。今回は、身近なところで法律に触れている場面を紹介します。

コンビニで買物をすると?


次のような場面を見てみましょう。

Aさんはコンビニエンストアにでおにぎり(販売価格150円)をレジに持って行き、店員がレジでおにぎりのバーコードを読み込んで「150円です」と言った。Aさんは、店員に現金150円を渡して、おにぎりを持ち帰った。
これのどこが法律と関係があるのかと思われるかもしれませんが、この場面ではAさんとコンビニとの間に売買契約が成立しています。

(売買)
第五百五十五条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

民法

コンビニがおにぎりの所有権をAさんに移転することを約束し、Aさんがこれに対して代金150円を支払うことを約束することによって、コンビニとAさんとの間におにぎりに関する売買契約が成立しているのです。

口約束でも契約は成立する

コンビニでは契約書を書いていないではないかと思われるかもしれませんが、契約が成立するのには契約書は要りません(保証契約等で例外はあります。)。口約束だけでも成立しますし、黙示の合意でも構いません。
Aさんがおにぎりをレジに持って行き、店員がおにぎりをレジに通して「150円です」と言った時点で、Aさんからとコンビニとの間で売買契約が成立しています。

契約書は何のために?

口約束でも契約が成立するのであれば、契約書は何のために作るのでしょうか。契約書を作るのは、証拠を残すためです。

Bさんは友人のCさんに1か月後に返してもらうという口約束で10万を貸した。ところが、1か月後になってもCさんは返さなかった。BさんがCさんに10万円を返すように求めると、Cさんは「Bさんから10万円を借りたことはない」と言った。
この場合、BさんとCさんとの間に金銭消費貸借契約という契約が成立しています。CさんはBさんに10万円を返さなければなりません。Cさんが返さないのであれば、Bさんは民事で裁判をして、Cさんに対して請求することできます。ですが、裁判になると、Bさんは、BさんとCさんとの間で金銭消費貸借契約が成立していることを証明しなければなりません。口約束では言った言わないの水掛け論になってしまい、Bさんが契約の成立を証明することは難しいのです。
そこで、後で裁判になったときに備えて、契約があったことや契約の内容を証明するために、大事な約束は書面に残すのです。契約書を作成していれば、それは裁判で証拠になりますので、Bさんは裁判に勝つ可能性が高いです。そもそも契約書を作成しているのであれば、Cさんが「10万円を借りたことはない」としらばっくれることないでしょうから、未然にトラブルを防ぐことができます。

まとめ

最後は少し話がそれましたが、コンビニの例でもわかるように、私たちは日常生活を過ごす中で法律に触れています。現代日本では、法律に触れることなく日常生活を過ごすことは不可能、と言ってもよいでしょう。
このブログでは、これからも身近なところで法律に触れている場面を紹介していきます。