
生成AIで作成した画像を販売していた人が逮捕された、と報道されていました。
www3.nhk.or.jp
生成AIで作成した画像を販売すると、どのような犯罪になり得るのでしょうか。
生成AI作成のわいせつ物を販売するとわいせつ物頒布罪
報道によると、被疑者は、生成AIを使って、実在しない成人女性の裸に見える画像を作成し、この画像をポスターにして、インターネットのオークションサイトで複数回販売した、とのことです。
この画像がわいせつ物であれば、被疑者の行為はわいせつ物頒布罪になります。
(わいせつ物頒布等)
刑法
第百七十五条 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
この画像は、実在しない成人女性の裸に見える画像とのことです。そのため、犯罪の被害者がいないのではないかと思われるかもしれません。
ですが、わいせつ物頒布罪は、社会法益に対する罪であり、その保護法益(法によって守られる利益)は、性道徳、性秩序の維持等と理解されています。不同意性交等のように、個人の性的自由を保護する規定ではありません。特定の被害者がいなくても処罰されます。
生成AIでわいせつ物を作成するだけでは犯罪にはならない
現行法では、わいせつ物を「有償で頒布する目的」で所持することは犯罪です。その一方で、わいせつ物を所持すること自体は犯罪ではありません。ですから、生成AIでわいせつ物を作成し、その画像を保存していても、それ自体は処罰されません。
立件したのが妥当なのかがわからない
この件がわいせつ物頒布罪として立件されることが妥当かというと、何とも言えません。この類の事件では、具体的にどのような画像等が摘発の対象になったのかが報道されないのです。先程の報道でも、画像に関しては、「実在しない成人女性の裸に見える画像」としか説明されていません。これでは、どのような画像なのかわかりません。
マスコミがニュースでわいせつ物を公開する訳にはいかないので、やむを得ないのですが、これでは警察がこの件を立件したのが妥当なのかを外部から検討することができません。