ジャンルポケットの斉藤慎二が女性に対する性的暴行をしたとして、2025年3月26日東京地検が在宅起訴をしたと報道されています。
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在宅起訴とは何でしょうか? 斉藤慎二は今後どうなるのでしょうか?
在宅起訴とは勾留されないで起訴されること
斉藤慎二は勾留されていません。在宅で起訴(公判請求)されています。
捜査のときに被疑者が証拠隠しや逃亡をするおそれがあり、被疑者を捕まえる必要があるときには、警察と検察は被疑者を逮捕・勾留します。逮捕・勾留されると、被疑者は捜査中は警察署の留置場で過ごします。
捜査中に勾留されている被疑者が起訴(公判請求)されると、裁判所が勾留をします。被告人は、起訴後に勾留されると、判決言渡しまでは、警察署の留置場か拘置所で過ごします。ただし、保釈が許可され、保釈保証金が納められると住む場所の制限等の条件付で釈放されます。
一方、捜査のときに被疑者が証拠隠しや逃亡をするおそれがないときには、警察と検察は被疑者を逮捕・勾留することなく捜査をします。この場合、被疑者は普通に自宅で生活をしますし、勤務先で仕事をしても構いません。警察・検察が被疑者を取り調べるときは、被疑者を呼び出し、自宅から警察署や検察庁まで来てもらいます。この状態を、実務上は「在宅」といいます。
在宅の被疑者が起訴(公判請求)されると、通常は裁判所も勾留をしません。起訴されると、法的には被告人となりますが、そのまま自宅で生活をしますし、勤務先が仕事をしても構いません。保釈中のように住む場所の制限等もありません。公判(いわゆる刑事裁判)の日には、自宅から裁判所に向かいます。斉藤慎二は各地でバームクーヘン販売をしているようですが、法的にはまったく問題がありません。
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被疑者・被告人が勾留されるとは限らない
悪いことをしたのに捕まらないのはなぜかと疑問に思われるかもしれませんが、それは勾留という制度を誤解しています。勾留は悪いことをした人に罰を与えるためのものではありません。被疑者・被告人を捕まることで、被疑者・被告人が証拠隠しをしたり、逃げたりするのを防ぐためのものです。被疑者・被告人が証拠隠しをしたり、逃げたりするおそれがないのであれば、勾留をする必要はないのです。
また、これも誤解されることがあるのですが、在宅か勾留かと判決が執行猶予か実刑かは直接の関係がありません。在宅起訴だからといって、必ず執行猶予になる訳ではありません。一般的には、実刑になる見込みの事件では、被疑者・被告人が証拠隠しをしたり、逃げたりする可能性が高いので、実刑になる見込みの事件の方が勾留されやすいという傾向はあります。ですが、在宅起訴されたのに執行猶予がつかずに実刑になることもありますし、勾留され、保釈も認められなかったのに、執行猶予になることもあります。
斉藤慎二の場合、著名人ですから逃げることはないでしょう。問題は証拠隠しのおそれがあるかです。この事件で重要な証拠は、被害者とされている女性の供述です。一般的には、被疑者が被害者に対して接触をはかる可能性があるのであれば、証拠隠しのおそれがあるとして、勾留されます。斉藤慎二が勾留されなかったということは、被害者に接触をはかる可能性はないと見られているのでしょう。
斉藤慎二の第1回公判期日は少し先になる
斉藤慎二は起訴(公判請求)されていますがら、東京地方裁判所で公判(いわゆる刑事裁判)が開かれます。一般的には、起訴後数日以内に第1回公判期日が指定されます。第1回公判は、起訴から1~2か月後です。
斉藤慎二の第1回公判がいつかはまだ決まっていないようです。3月26日に起訴されていますから、まだ第1回公判の日にちが決まっていないのは遅いです。
ですが、報道によると、斉藤慎二は被害女性に対して性的行為をしたことは認めていますが、「無理矢理ではなかった」等と犯罪の成立を争って居居るようです。争いがある事件ですと、争点整理等のために第1回公判の前に関係者の打合せが行われ、起訴から第1回公判までに時間がかかることもあります。今の時点で第1回公判期日が指定されていなくても、おかしなことではありません。
斉藤慎二は有罪になると実刑の可能性が高い
公判では、被告人である斉藤慎二が犯罪をしたのかどうか、犯罪をしたことであればどのような罰を受けるべきかが審理されます。
斉藤慎二が有罪になると、どのような刑罰になるのでしょうか。
報道によると、斉藤慎二は、不同意性交罪と不同意わいせつ罪の事実で起訴(公判請求)されています。
(不同意わいせつ)
刑法
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
(略)
(不同意性交等)
第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
(略)
不同意性交罪の特徴は、刑が重いことです。法律で定められたもっとも軽い刑が懲役5年です。3年を超える懲役には執行猶予をつけられません(刑法25条)から、初犯でも必ず実刑になります。ただし、「犯罪の情状に酌量すべきものがあるとき」は減軽ができます。その場合はもっとも軽い刑が懲役2年6月まで減軽されます(刑法66条、67条3号)から、執行猶予をつけることもできなくはありません。
斉藤慎二の場合、どのような経緯で被害女性と行為に至ったのか、具体的にどのような行為をしたのかが報道されていません。そのため、有罪になったときの量刑の予測をするのが難しいのですが、被害女性との間で示談が成立した等の事情がない限りは実刑になる可能性が高いと思います。
ただし、これはあくまでも有罪になった場合です。斉藤慎二が公判で同意があった、同意があったと誤信していた等と主張し、これを認められば無罪判決になります。