
報道によると、2025年6月6日の閣議で沖野眞已氏が新しい最高裁判事に任命することが決まりました。任命は7月21日以降に発令されます。
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沖野眞已氏は宇賀克也最高裁判事の後任
最高裁判事は、定数が15名です。現在の最高裁判事の内宇賀克也氏は、7月20日に定年退官します。後任の最高裁判事が誰になるのが注目されていました。
宇賀裁判官は、法学者出身で、行政法を専門としています。慣例により、宇賀最高裁判事の後任も法学者出身になると思われていました。沖野氏は、民法や消費者法を専門とする法学者ですので、慣例通りの人事です。
沖野眞已氏は東大法学部部長
沖野氏の経歴等は、東京大学法学部のWEBサイトで公開されています。
www.u-tokyo.ac.jp
沖野氏は、1964年生まれの女性です。
1983年に東京大学に入学し、東京大学法学部在学中の1983年に司法試験に合格しています。1987年に東京大学法学部を卒業し、東京大学法学部助手に採用されています。東京大学法学部助手は、給料をもらえる学生のような身分で、法学の世界ではエリートコースです。
その後、筑波大学専任講師、学習院大学法学部助教授・教授、一橋大学大学院教授を経て、2010年から東京大学大学院の教授を務めています。
2025年4月には東京大学法学部学部長に就任しています。東京大学法学部学部長の女性が就くのは、1877年の東大法学部創設以来初めてのことです。
www.j.u-tokyo.ac.jp
東京大学法学部YouTubeチャンネルでは、沖野氏が民法に関して3分45秒で説明する動画が公開されています。
www.youtube.com
なぜ学者が最高裁判事に任命されるのか
沖野氏は、大学在学中に司法試験は合格していますが、司法修習を経ておらず、法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)としての経験がありません。
最高裁判事は、定数が15名です。この内、1~2名が「学者枠」とされており、法曹三者の経験がない学者から任命されるという慣例になっています。先程の宇賀最高裁判事も学者出身です。学者出身の最高裁判事は、最高裁の判断に最新の理論や知識を取り入れることで、最高裁の判断の多様性を高める意義がある等と言われています。
過去の「学者枠」の最高裁判事を見てみると、優れた補足意見や少数意見を書かれている方がいます。例えば、英米法と憲法を専門とする伊藤正己裁判官(1980年~1989年)は、憲法訴訟で多数の補足意見と少数意見を書かれており、憲法を勉強する学生からは「伊藤正己裁判官のせいで暗記しないといけないことが増える!」とネタにされていました。宇賀最高裁判事も、多数の補足意見と少数意見を書かれていました。
その一方で、多数意見に迎合するばかりの裁判官もいました。事実上の「学者枠」と言われていた山口厚元最高裁判事(2017年~2023年)は、刑法学者としてはすばらしい実績がある方ですが、最高裁判事としては期待外れな結果に終わりました。
沖野氏の専門は、民法や消費者法です。専門の分野で質が高い補足意見と少数意見を書かれることが期待されています。